今回で10回目を迎える「みやざきワイン短歌大賞」。全1,061点のご応募をいただきました。
誠にありがとうございました。

審査員

伊藤 一彦

歌人

俵 万智

歌人

2026年入選作品

大賞

はじめてのワインをふくむ大人って

こんなものよという味がした

大阪府大阪市
増田 優奈 様

ワインが飲めることは大人のあかし。初めての一口への感想がリアルです。
拍子抜けしたような下の句の口調が、正直で面白いですね。
その複雑な味や香りや渋みがわかるようになるのが、大人の楽しみかもしれません。 (俵 万智)
準大賞

秋の夜に月の明かりで飲むワイン 

終わった恋の痛みふたたび

宮崎県都城市
吉川 伸一郎 様

本人は終わったつもりでいたが、実は心の奥に残っていた恋心。
わざわざ灯りを消して、月の光で飲むワインがいい。 (伊藤 一彦)
ワイナリー賞

都農ワイン賞

都農ワインぶっきらぼうにカチンする

夫は冬までふたつ年下

宮崎県児湯郡新富町
三浦 知子 様

作者の誕生日を祝う場面。普段は一歳違いですが、先に誕生日がくるため、しばらくは二歳違いに……なぜかそれが面白くなさそうな夫が、いかにも年下で微笑ましいです。余裕と温かみのある下の句が印象的でした。 (俵 万智)

五ヶ瀬ワイナリー賞

五線譜に葡萄をのせて絞りしか

歌いたくなる五ヶ瀬のワイン

青森県青森市
麻倉 遥 様

ワインがおいしくて思わず歌いたくなるのは、
葡萄を五線譜にのせていたからではないかという発想がたのしい。(伊藤 一彦)

雲海葡萄酒醸造所賞

あれこれと理由付けてはおかわりす

グラスにあふる雲海ワイン

宮崎県小林市
外薗 弘志 様

「今日は久しぶりだから」「明日いいことがあるように」などか。
美味しいワインを杯重ねて飲むための口実は嘘ではない。 (伊藤 一彦)

都城ワイナリー賞

今キミが生きてることを祝いたい

コノハナサクヤで乾杯しよう

千葉県千葉市
平木 良重 様

優勝や誕生日や何かの記念日など、特別なことではなくていい。
今平和に無事に生きていることこそが、乾杯の理由なんだというところに共感しました。美しくも限られた命を思わせるワイン名も効いています。 (俵 万智)

佳 作
このワインあなたみたいな味がするそう言われ見る産地 みやざき       愛知県名古屋       イトウマ  
「きっと好きだと思うよ」と注がれて香るワインはあなたに似てる         滋賀県高島市       くらたか 湖春
恋愛にしないと決めて赤ワイン一杯、二杯、三杯飲んだ              宮崎県宮崎市       井口 寿則
こじゃれてる君と似合わぬ俺だけど今日は日向で牛とワインを             神奈川県横須賀市     永井 操
傾けるワイングラスの金色のひなたの中であなたに出会う          京都府城陽市       越野 泰徳
太陽をたっぷり浴びた葡萄から月夜のようなみやざきワイン       愛知県名古屋市   遠藤 雄介
みやざきのワインで祝う真珠婚 二人の味も深まったよね            大阪府大阪市       奥谷 和樹
新しい神話がひとつあふれ出てワインラベルを心に刻む             岡山県玉野市       岩中 幹夫
背伸びして赤か白かのワイン選ぶドレスもグラスも光をまとい     宮崎県日南市       鬼束 仁美
自転車を置いて帰ろう葡萄酒のほろ酔い気分ブーゲンビリア       熊本県天草郡苓北町   吉田 里香
ホンサバをごまさばにして辛口のワイン選べば夏がはじまる               宮崎県宮崎市       古川 仁
今週も頑張り終えて空となる私を満たすみやざきワイン                     埼玉県川口市       崎本 ミナト
手応えなし夕陽のグラスを傾けて恋の確率11%                              東京都八王子市   山下 歩望
冷えているワインの中におひさまを感じられるよみやざきワイン           宮崎県宮崎市       児玉 明子
「葡萄からこんな味になるなんて」そう言う君も素敵になって               大阪府大阪市       児玉 涼太
卒寿過ぎ 認知症進む 父だけど テイスティングの 舌は鈍らず   石川県河北郡内灘町    狩谷 正一
潮風に都農のゾークを開けたれば言へなきことの香り立ちたり           東京都足立区       小野 史
持ちたがるワインのボトルこの子とのあと10年を熟成させる               千葉県松戸市       小林 里純
ふわふわと雲に乗つているやうに雲海葡萄酒身を染めるなり               茨城県つくば市   松田 早苗
父は今日免許を返し都農を飲む帰りのバスはゆっくりでいいい              神奈川県横浜市   盛田 義隆
子が眠りそっとワインの栓を抜く十二年後は一緒に飲もうね                 神奈川県横浜市   前沢 佳菜子
この先も一緒にいようと言わぬままグラスの底に約束がある                 愛知県豊橋市       大羽 達也
自己ベスト記録更新ならざるも完走祝うキャンベルアーリー                 宮崎県宮崎市       池 久美
ロゼ掲げ「ルネッサーンス」と笑う夜 生き直すって案外うまし             京都府京都市       椿 れもん
台風の話を笑って終えたころ 葡萄は甘さ増していたらし                     宮城県仙台市       八巻 孝之
試飲する 私の横に やって来て 子どものように ちょうだいと母    東京都北区          飛鳥井 郁枝
至福なる 赤色に酔って プロポーズ 記憶にないけど 妻誕生        大阪府藤井寺市   平松 秀一
「母さん」が「私」にもどる午後十時甘いワインに心ほどける                   鹿児島県曽於郡大崎町    北室 志織
願い事叶うと言われるクルスの海ワインをそこで君と飲みたい              東京都港区          末野 有理
十年後 開けようと買う 赤ワイン 未来にひとつ 約束できる          東京都江東区       野村 伸之介
「このワイン、都農の香り」と君が言う 僕らもいつかそこへ帰るね            石川県能美郡川北町    野﨑 善友
やわらかな夕日を見れば思いだし飲みたくなるね五ケ瀬ワインを          兵庫県西宮市       立田 渓
まだ「好き」と言えぬ距離感もどかしくデラウェアの白が揺れてる          京都府京田辺市   林 貴久
「五ヶ瀬なら星がきれい」と君が言う 夜は白だけ冷やしておこう            東京都西東京市   髙岡 大祐